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陰影を重視するマツダ・デザインの未来。

ByRem York Maash Haas

1月 9, 2017
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2014年に発売されたDJデミオは立体、造形としては普通だけども、光の入り方によってとても美しくなる。

それは平面が本当に平面だったり、伸びきったものではなく、ゆるやかなカーブを多用しているせいで、陰影がとても美しいからだ。

形そのものよりも、光やモノが映ったときの陰影を重視するという姿勢を採用しはじめたマツダ・デザインは、これから無敵だと思う。

インテリアでも映画でも写真でもプロダクト・デザインでも、最後は陰影の美しさ。

「陰影の美しい車を作る」という基本がぶれなければ、造形の美しさが脱線していくことはない。

 

魂動デザインはそもそも有機的な動感をコンセプトを基に追究していくものだったけれども、結果的に陰影の美しさになった。

結果として、ロードスターのドアは上下左右どの方向にもカーブしていて、RX-VISIONでは平面のようで平面でないサイドを作り、そのデザイン思想を量産化した新型CX-5もやはり美しかった。

私はVWのゴルフやパサートのような直線デザインも好きだが、新型CX-5のデザインを見たあとにそれらを見ると、なんだか物足りない。

それどころか、直線的で大好きだったCX-3でさえも、少し古く感じてしまう。

 

緩やかにカーブするせいで、映り込みがあると途端に美しくなる陰影重視のデザイン。

これはNDロードスター発売後、初めてディーラーを訪れたときに撮影したもの。

蛍光灯と外の風景の映り込みで恐ろしいほど美しい。

 

だからといって、いつも美しいわけではない。

映り込みがないときは、案外普通に見えたりする。写真によって騙すこともできるし、現物より劣って見えたりしやすい。

その後マツダは塗装においても映り込みにこだわり始めたので、「普通」に見える機会は減っていくだろう。

 

今後のマツダ・デザインの基礎となるRX-VISONの、このドア部分の緩やかな曲線は変態的だと思う。

映り込みの少ないところではフラットな感じで味わいがないのに、映り込みがあると他の車とはまったく違う画になる。

これはアップルのデザインとも真逆の方向性がある。

パサートはゴルフよりもフロントラインを直線化したり、切り込みはより鋭く、平面はよりフラットにというシンプリシティで、アップル的だ。

同じ会社のせいかアウディも今後のデザインコンセプトには、そのフラットと直線の方向性があるし、見渡してみるとどの車もフラット化ばかり。

BMWもポルシェもベンツもボルボも、全部フラットに向かっている。

 

他に陰影の美しい車は、インフィニティQX30。コンセプトのころから気になっていたけど、いろんなラインがうねうねしているのが印象的だった。

マセラッティやジャガーも美しい。ジャガーE-typeを基にコンセプトを作る人は多い。

ブダペスト大学の Laszlo Vargaという人が勝手に作った2012のE-typeコンセプト。

コンセプトだけど、陰影度は凄まじい。

こちらはスウェーデンのデザイン事務所VisualtechがE-typeを基に作ったコンセプト。

こんなのが量産化したら、ただ楽しい。

 

他にも復活するアルピーヌやアルファ・ロメオ、124スパイダーなどもあるけど、陰影が美しい車の雄はすでに存在している。

フェラーリだ。コンセプトではなく、現行ももちろん、ディーノのようなクラシックでも王者。

 

 

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