窒息マニア前上博の犯罪を誰も止められなかった。 臨床心理士長谷川博一の本。

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死刑囚と接見する。
接見して、その心を読み解く。
一般人の我々が入ることのできない世界。
それを知ることのできる本を見つけました。

「殺人者はいかに誕生したか」という本。

「なぜ、いかにして犯罪者となったのか」は、裁判ではあまり追求されないそうです。
それを、死刑執行までの限られた時間で分析しようとしてきた臨床心理士の長谷川博一が書き下ろしました。
改めて、「あの事件はいったいなんだったのか」を知ることのできる本です。

彼が面会してきたのは、宅間守、宮﨑勤、前上博、光市母子殺害事件の少年、畠山鈴香、加藤智大という凶悪事件の死刑囚が登場します。

なかでも不可解な事件を起こしたのは、2005年にネットで自殺志願者を集め、窒息死させた前上博。
窒息して苦しむ人々を見て性的興奮を覚え、死にゆく彼らに「白い」ソックスを履かせました。





彼はIQ128で、一度見た風景を忘れないサヴァン症候群だったそうです。
そのような人とは違う特長を持つ彼でしたが、それだけでは犯罪の理由が見つかりません。
長谷川は、前上がアスペルガー症候群なのではないかと疑います。

幼稚園のときに、郵便配達員の白いヘルメットを見て興奮を覚え、以来、男女かまわず白いものを身につけている人を追い回すようになります。そして、自殺志願者の殺害でも全員に白いソックスを履かせました。
ひとつのものに固執する傾向は、アスペルガーの症状のひとつです。

対人コミュニケーションを上手くとれないという彼の性格も、症状を疑う理由のひとつでした。

長谷川は両親が、そのような彼を厳しくしつけたこと(当時は障害そのものが知られてなかった)、父親が酔って彼を何度も窒息させようとしたことが、彼の障害と複雑に連鎖して、犯罪者となっていくという課程を描き出します。
彼は、小学校高学年の時に犯罪者となりました。
捕まえられることはなかったものの、近所の少女を対象に100件以上のプチ窒息事件を次々と犯していくのです。

人が大人になっていくとき、その人格形成に影響を与えるのは育ちなのか、生まれ(遺伝子)なのか。
遺伝子の研究者の間では、遺伝子の割合が一番高いが、決してそれだけではなく、育て方も多いに影響を与えるそうです。
長谷川もその点を強調していて、この本を読んでいると、犯罪者の遺伝子を持つ子供にはなんらかの遺伝的性癖があるものの、育て方によって抑えることができるのではないか。つまり、この本に出てくる死刑囚も、家庭環境によっては幸せに生きることができたのではないか。そういう想いにさせられます。

また、青年期から何度か障害事件を起こしているにもかかわらず、世の中のシステムでは彼の犯罪を止めることはできませんでした。
大学生時代に襲った同級生も、職場の同僚も、みんな白いソックスをはいていたそうです。
郵便局の同僚を襲った事件では、精神に問題があるとして不起訴になりました。

著者はその郵便局での事件や、自殺サイト殺人での精神鑑定の方法に疑問を投げかけています。

死刑制度うんぬんの前に、犯罪者のことをより良く解明するには何が必要か。考えさせられる本でした。


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