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ムンク、殺人事件を描く。

ByRem York Maash Haas

6月 26, 2012
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http://www.guardian.co.uk/artanddesign/2012/jun/25/edvard-munch-tate-retrospective#

 

田舎道を描いたムンクの絵だが、これはよく見ると「殺人」の絵だという。

道路に横たわっているのは死体で、手前の人間は犯人。

 

ムンクは1919年ごろ、ノルウェーの新聞などで報道された事件を基にこの絵を描いた可能性がある。

彼は現代的な殺人事件や大量虐殺(第一次世界大戦)などをテーマにした絵を多く描いていて、アプローチが同時代の画家とまったく違う。

 

写真がない時代、絵画はもともと、世界で起きた事件を伝える道具でもあった。

ニュースペーパーとモノクロの写真がない以上、戦場は画家が描いた。

画家は内面を描くよりも、実際に人と会い、風景を見た。

取材力をすべての源にしていて、それは今の報道記者やカメラマンに近い。

 

ムンクからピカソに至る時代に、画家は取材力を手放していく。

主義にこだわり、物を見ずに絵を描くようになり、それは「現代美術」として人の内面やアイディアを表現するものとなった。

取材力を失った絵や美術は、今や市民にまったく相手にされていない。

 

小説、歌、映画など、時に「芸術」と呼ばれるものは、取材力を失った途端に死亡するのだ。

 

ムンクは、内面を描く芸術と、外の世界で実際に起きることを描く取材的絵画の狭間にいた画家かもしれない。

 

ロンドンのテートモダンでは今月28日から10月まで、ムンクの回顧展が開催される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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