ゴッホがサンレミの病院に入院中に描いたのが、看護師のタラバックとその妻でした。
このオリジナル作品は、ゴッホがモデルにあげてしまったため、長いこと行方不明でした。
この肖像画の凄みは、偶然か計画的か、生まれてしまった色。
顔の影に緑が入っていて、まるで最近の映画の色を先取りしたかのよう。
当時の絵画は陰影の差を色の差としていただけで、線は使いませんでしたが、ゴッホは北斎の影響もあって線を使います。
しかも、その線の中にもうひとつ色を置いたりします。
影に色を積極的に使うようになったのはモネが最初ですが、実際に実生活でも影には反射する色があります。
たとえば頬の影の近くに赤い物があれば、影は赤くなります。
なので、絵画において影に色を使ってもおかしくはなりません。
ゴッホの場合は線の中に積極的に色入れますが、それも同じ原理でおかしくはなりません。
影の原理として、濃い色の中に、少しくすんだ色を入れれば大丈夫。
この絵の場合は、くすんだ緑色の影が先にあり、その上から鮮やかな肌色を線で入れていくという方法です。
クリムトなども近い描き方をしていますが、影にこれほど色はありません。
ゴッホは真に革命的でした。
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