買い物の失敗を繰り返してミニマリストになったのかも。 岸本葉子『買い物の九割は失敗です』を読んで
岸本葉子さんの『買い物の九割は失敗です』が面白いです。
私が岸本さんとよく仕事をしているから、とかではなくて、モノをいろいろ捨てたミニマリストとして「なぜか」面白い。
買い物の本なのに、ミニマリストが楽しめる本というのはなかなかないのに、どうして面白いのだろう。
ミニマリストはよく、「捨てることが目的になっている」と批判されるけれど、やっぱり「捨てる理由」は探したりする。
「このルンバ、半年使ってないよね」
という感じで。
本の冒頭に出てくるのもルンバ。
自分の場合、使わなくなったこと自体、ロボットのような彼に申し訳ない気持ちになっていた。
どうして買う前は、あんなに欲しくなったのだろう。
買ったら、すごい活躍をしてくれるだろうと思っていた。
でも実際は、複雑な家具の迷路に迷いこみ、どこかで唸っているのが常だった。
いろいろと使い道を模索した。
ベッドの下なら、手も届かない場所にも行ってくれる…。
でもある日、ベッドの下の奥の方でバッテリーアウト。止まってしまった。
手が届かないから、取り出せない…。
そのまま1ヶ月ほど放置して、捨てた。
いろんな棒でかきだすように取り出したけど、ほんとに大変だった。重いから。
ペットと別れたような複雑なその心境を、この本は思い出させてくれるのか。
岸本さんもこんなにルンバと格闘していたなんて。
自分はバッテリー交換プログラムは実行したけれど、だからこそ長く捨てられなくなったという側面もあり…。
ところで、今回の本は岸本さんの毒が出ていて面白い。
買ったけれど、使っているとこうこうこういう問題が出てきて、結局使わなくなって…と私たちにもよく起こる現象が書かれていて、モノに対する岸本さんの愚痴が穏やかにかつ鋭く吐かれている。
便利と思って買ったのに、そのモノに対する掃除やメンテナンスが…と、逆に手間が増える。
相談窓口に電話かけたり、通販で買ったけれど返品したり…。
ミニマリストの共感部分はまさにここで、「だったら要らない」となる。
その「だったら要らない」と思えることも、少し気持ちいい。
他にも、私の知らない岸本さんがいっぱい出てくる。
ツタヤの宅配レンタルにも入っていたり、韓流ドラマにはまっていたり。
岸本さんの失敗談にいちいち共感し、「だからいろいろモノを手放したんだなぁ」と自分を振り返る。
ミニマリストにオススメです。
1月20日発売
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