中絶クリニックの前にある黄色い線について。
1990年代、アメリカで中絶問題は殺人事件化した。
マサチューセッツ州ブルックラインで1994年に、中絶クリニックを狙った発砲事件が起こった。
二人が死亡、5人が怪我をするという事件だったが、これはエスカレートした中絶反対派が起こしたものだ。
このころ、各地の中絶クリニック前は、中絶を反対する人々であふれかえっていた。
中絶したいと思う女性は中に入れず、職員たちは嫌がらせを受けていた。
そして今、中絶クリニックの前には黄色い線が引かれ、人はそこから中に入ることができない。
入ると2年の禁固刑(起訴された人はいない)。
人々は歩道から一度、車道に出なくてはならない。
15日、ボストン中心街にある中絶クリニックの、Buffer Zoneと呼ばれる黄色い線(州法)に対して、ある女性が訴えを起こした。
2007年に制定されたこのBuffer Zoneは、違憲であるというものだ。
女性は反対派のエレノア・マッカレン。
報道では彼女の宗教についてふれると少々面倒なことになるので、十字架を首に下げた姿を出している。
彼女は、このBuffer Zoneが、反対派の言論の自由を抑圧(curb)するものだと訴えている。
「中絶クリニックに行こうとする女性たちは、できれば中絶をやめたい。でも予約をしているから行かなくてはならない。と、複雑な気持ちなのだ」と報道陣を前に訴えた。
「あと3分あれば説得できるのに、黄色い線があると苛立つ」
一方、州のマーサ・コークリー司法長官は、「この法律は、反対派の言論の自由を認めると同時に、クリニックの患者やスタッフを嫌がらせから守るもの」と報道陣に訴えた。
アメリカにはマサチューセッツの他に、コロラドとモンタナに同じような法律があり、他は各都市が立ち入り制限を設けている。
州法に反対する派の主張の一つに、コンテンツベースという考え方がある。
立場に対して制限をするというものだ。
反対派はカソリックであり、ある宗派を信仰している。
そういった立場の人々だけをターゲットに、言論を抑制しているという主張だ。
そもそも法律で規制するのが問題で、警察を使って自分たちを排除すればいいという。
一方、州は「立場ではなく、行動に対しての制限」と主張している。
場所が混雑することが問題なのだと。
当然、誰もがこの州法はあの中絶クリニック前の暴力問題に関係していることは知っていて、対象は中絶反対過激派だということも知っている。
しかしアメリカでは、特定の立場を指定して規制するのは憲法上良くない。
だから、基本的に黄色い線の中は、クリニックに用がある人以外は誰も入ることができない。
が、実際に何の関係もない人が歩いても、罰せられることはないのだ。
だから、事実上コンテンツベースなのだ。
中絶反対派は、自分たちの言論が抑圧されていると考えているが、「中絶をしたい」と願う人々の意志には自由を許さない。
神はこの矛盾にこたえを出せるのだろうか。
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