現代マルチ最高峰ハーバライフの罠をABCNEWSが特集
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「アメリカンドリーム健在」をアピールし、大成功を収めているのがハーバライフ(Herbalife)。
一世代前の人なら一度は誘われたことがあるアムウェイと同じマルチ商法だが、それを現代的にアレンジして大人気だ。
ディストリビューターの全国大会はさながら大物アーティストのライブのよう。
そこで「私たちが手にするボーナスは5200万ドル!」とCEOのマイケル・ジョンソンが叫ぶ。
Youtubeにアップされている映像は、大成功を収めたディストリビュータのセレブ画像。
こうやって成功者の姿を見せてあおるのはアムウェイも同じだ。
世界90カ国に30万人のディストリビュータを持ち、アメリカでは数十万人が登録している。
しかし、大金持ちになれるのはほんの一握りだという。
そして、今ここにFBIと連邦取引委員会という二つの組織がメスを入れ始めた。
メディアは「違法なマルチ商法を行っている」と大々的に報じた。
社長デス・ウォルチはABCの取材に対し、「ディストリビュータは自分で商品を買っているだけだ。それに少しの副収入があるだけ。 大半の人は、50ドルくらいの開業資金を払えば、月に数百ドルの副収入を得られるやりかたが、いかに素晴らしいか」。
インタビュアー「本当に副収入でしょうか。大金持ちになれると言って勧誘しているようですが」
ウォルチ「それは違います。そんなメッセージはないです」
全国大会でステージに立つ主役は、プレジデントチームとチェアマンズクラブ。ディストリビュータの最高峰だ。
「心臓が動くなら今すぐやってくれ! 誰でもできる!」
ジョージタウン大学のJ・エンジェル教授は、「得られそうにない収入を得ることができるのは不正直」と語る。
ABCは隠しカメラで潜入取材をした。二人はディストリビュータになるフリをする。
アメリカのハーバライフのディストリビュータの60パーセントはヒスパニックなので、二人の記者はNYのクイーンズにあるヒスパニック系住民が多く住む場所に赴き、看板もない家に入る。
ここで1日5ドルの会費を払うと、ダイエット飲料が飲み放題。
二人は会員登録を行い、3900ドル分の商品を買うと、4000ポイントをもらい、すぐにスーパーバイザーに昇格する。
すると、数日後に商品が大量に届く。中にはビジネスに関するパンフレットも含まれていた。
講習会に参加すると、会員の報告がある。
「先月は80万円稼いだ」
「100万ドルの家をキャッシュで買った」
最後にプレジデントチームの一人が立ち、キモについてふれる。
「商品を売るのではなく、会員を誘って、紹介料で副収入を得るのだ」
「5人を誘い、その5人がさらに誘ったらどうなるでしょうか。これを続けていくうちに、スーパーバイザーが155人以上になる」
「その一人ひとりが、毎月2000から2500ポイントも売れば、あなたは4万2000ドルを得ることができる」
しかし、記録によると 年収25万ドル(2500万円)に達したのは、全ディストリビュータの1パーセントに満たない199人…。
誰でも儲かるのではないのか…。
1980年代、ハーバライフは収入額を偽装し、会員を増やしたとして批判を受けた。
実はそれ以来、ビジネスモデルの根本は変わっていない。
また、ハーバライフは「病気が治る」的なことを言ってはいけないが、覆面記者の取材によって、「ハーバライフを使えばがんが治る」 といった言葉を口にした。
「妊娠の効果があった」「頭痛が治った」というメッセージで盛り上がる光景がよくあるのだ。
ABCの取材のあと、ハーバライフは600人が医療的効能を口にし、12人が資格を剥奪されたことを明らかにした。
そして、ハーバライフの株は乱高下。
取材は続き、内部告発者が登場。
元ハーバライフ重役、G・ボーク。
「弱気ものをいじめる企業にいた」
しかし、ハーバライフの不正を追及するウォールストリートの住人ビル・アックマンと彼は密約を交わしていた。
マスコミに問題を話して仕事を失った場合、36万ドルをアックマンが保証するというもの。
もしハーバライフの株が下落すると、アックマンは利益を得るらしい。
この金銭的な繋がりを二人はABCに秘密にしていた。
実際、インタビューのあと、計8万ドルをボークは受け取っている。
そのため、ボークの内部告発の内容は放送されず、視聴者は肩すかしをくらった。
それでも、各方面からのハーバライフに対する追究は続くだろう。
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