ディーゼル窮地でマツダが危ない? VWディーゼル違法ソフト問題
最初に小さくこのニュースが出たとき、対岸の火事だと思って「これは相当な問題になるぞ」と吹聴していた嫌な奴が私だが、だんだん日本の雲行きも怪しくなってきた。
まず、ドイツの自動車業界のブランドイメージがダメージを受けることは間違いない。
それだけでも相当な威力があるが、これが自動車業界全体の問題という捉え方もされ始めている。
細かくみると、「ディーゼル」というものに対して、強力な逆風が吹いてきたのかもしれない。
以前からディーゼルに疑念を抱く人は多くいた。
ヨーロッパの大気汚染が酷いからだ。
理由に、「規制前のディーゼル車が走っているから」と賛成派も反対派も声をあわせて言っていた。
しかし、今回のVW事件を受けて、考え直す必要が出てきた。
疑念として、この高性能な違法ソフトウェア(テスト時の走行をコンピュータが判断し、規制物質をおさえる)は、いつから、何を対象に、どれだけのブランドで使われてきたのか。
はたして、VWだけなのか。
スモッグの原因となるPM2.5はどうなのか。
マツダがクリーンディーゼルで成功し、ヨーロッパがクリーンディーゼルを日本に導入しはじめた矢先のこの事故。
VWはアメリカという国に正面衝突し、撤退もやむを得ないほどの損害を与えている。
アメリカだけじゃない。世界中で1100万台のディーゼルがNOxを大量に(現時点でその量の確かさはわからない。40倍が本当かどうかもまだわからない)まき散らしている。
そして、このニュースが注目されると同時に、多くの人が「NOx」とは何だろう?とか、PM2.5はディーゼルと関係があるのかとか、調べ始める。
私もマツダのデミオ購入時にディーゼルかデミオかという判断に迫られたが、私の場合は迷わずガソリンを選択した。
「今のディーゼルはクリーン」という意味がわからなかったし(車に興味がまったくなかった)、すべて情報は買ったあとに取得した。
石原都知事のディーゼル規制の件や、その後のマツダクリーンディーゼルの評判も知るようになり、パワーが凄くていいなと思ったりもした。
それでも、やっぱり嫌だと思ったことがある。
PM2.5とディーゼルに繋がりがあったからだ。
どんなにクリーンでも、まずはPM2.5が発生する。
そして、DPF再生という意味のわかりづらい言葉の機能が作動する。
溜まったPM2.5を燃やしてしまうのだ。
それで終わりならまだしも、そのせいで次は光化学スモッグのもとであるNOxが出てしまう。
だからこれも処理しなくてはならない。
※マツダとしてはここで触媒などを使わなくても、厳しい日本の規制に対応できるとしている。簡単な触媒はDPFに付いているという。
そんなの嫌だ。
VWはNOxの処理に還元式というのを使ってるらしく、それを使うと通常の運転性能が落ちる。
だから、「できるけど、使わない」という方式をとったのだろう。
もしくは、PM2.5を完全に燃やさないで、NOx発生量を減らすというパターンもあるらしいが、それならもっと最悪だ。
信じれば、最新技術によるPM2.5の除去能力は高い。
でも、多くのブランドがVWのようなことをやっているのなら、大気はクリーンになっていないだろう。
マツダは信頼が置けるから、信じたい。
でも、二酸化炭素を出さないかわりに、いろいろと面倒な処理が必要なディーゼルについて、多くの人があらためて考えると思う。
そして、私が選んだガソリンも、結局はPM2.5を出すということが今回わかった。
直噴ガソリンエンジンは、昔のエンジンと違って出すらしいのだ。
ディーゼルとは量が違うけれども。
私はガソリンエンジンが好きだが、こういうニュースを見ていると水素やEVに未来は軍配が上がるのだろうと納得してしまう。
つまりはこの事件、ディーゼルとガソリン、世界中にある二つのエンジンに打撃を与えるのだ。
となるとマツダは、トヨタと提携して良かったと、胸をなで下ろす。
いつ、世の中の雰囲気が、水素やEVに急激なシフトをするかどうか、わからないから。
今回のような事件が起こる限り。
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