ニューズウィークはニュース誌部門で発行部数全米2位。

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ABCがニューズウィークのデジタル化について記事を追加している。

80年の歴史を持つニューズウィークは、先日デジタル化を発表。

業界にショックを与えたが、記事によると専門家は、まだ印刷は死んでいないという。

では、なぜニューズウィークはデジタル化に踏み切ったのか。

 

2007年ごろから過去5年間は、ニューズウィークの経営陣にとって悪夢ような日々が続いていた。

発行部数の急落が止まらない。

監査局の調査によると、2000年には313万4046部だったが(日本の報道ではなぜか1年間の発行部数となっているが、半年分)、2012年上半期には152万7157になった。

一方、ライバルのTIME誌は327万6822だった。

 

オーナーのワシントンポストはオーディオ王の富豪であるシドニー・ハーマンにニューズウィークを売却。

ニューズウィークが生み出す莫大な損失を道楽のように補ってきたが、2011年に亡くなった。そして遺族は、投資のストップを宣言した。

ニューズウィークは完全デジタル化。全国ニュース誌としては初の出来事だ。

ここまで聞いていると、ニューズウィークの部数落ち込みは相当な傷手だったという印象がある。

しかし、150万という数字はそれほど悪くないのではないだろうか。

実は、監査局の上半期の記録(ニュース誌部門)では、ニューズウィークは全国2位だ。

 

1位 タイム 327万6822部

2位 ニューズウィーク 152万7157部

3位 ニューヨーカー 104万3792部

4位 ブルームバーグビジネスウィーク 99万3267部

5位 フォーブス 92万3848

6位 エコノミスト 84万7313

 

しかし、雑誌だけで見ると、ニューズウィークは51位。下にはヴォーグの70位、フォーブスの94位がある。

TIMEは12位。

TIME 誌の編集長であるリチャード・ステンゲルは、同誌がニューズウィークと同じ運命を辿るかと聞かれ、「(印刷された)雑誌はブランドの目玉であり、すべてのプラットフォームだ」と答えた。

ウェブをするにしろ何にしろ、紙で出していることがブランド価値を生むーー。

 

印刷された本が書店に並ぶのは、毎回広告を街頭に出しているようなものだ。

いい見出しがあれば話題にもなる。

だから出版社は必死に雑誌を守ろうとする。

が、印刷所では使用するインクの量が毎年落ち続けている。

質を落とさず、デジタル化できるのか。
そのメリットを、ニューズウィークは手放した。
月25万部ほどの売り上げでは、あの雑誌は作れないのだ。
当然、人件費は負担になる。
老舗にはどこも腕のいい記者とカメラマンが揃っている。
だからこそ売れる雑誌もある。
ナショナル・ジオグラフィックは良質な写真とイラスト、内容で発行部数は全国8位と健闘。
ニューズウィークはニュース誌の中でも質のいい写真を提供してきたから、発行部数もキープできたはずだが、そうはならなかった。
だからといって、その質を下げるわけにもいかない。
あのクオリティは、広告営業に使いやすい。
いい記事と原稿のためには、ベテラン記者も大切にしなくてはならない。
だから、半年で150万部売っても、ペイできなかった。
ワシントンポストが売却したとき、新オーナーは300人ほどの社員をリストラしない方向で経営を続けた。
今回のデジタル化では、それを理由にリストラはやむを得ないとしている。
デジタルの世界ではまだ、ニュースに良質な写真は求められていない。
だから、まずはカメラマンの経費を減らすのか。
記者はどうするのか。
社員のモチベーションは保てるのか。
デイリー・ビースト部門とニューズウィーク部門に軋轢はないのか。
クオリティとプライドを維持できずに、広告を取り続けることはできるのか。
ニューズウィークは、デジタル化で何かが変わる。
その変化を見るだけでも、購読する価値はあるかもしれない。

 

 

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