ファンタジーな風景はビーバーが作り出す。
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まるで『アリス・イン・ワンダーランド』のセット風景のようだが、これは現実の風景だ。
しかも、人為的ではない。
この風景を生み出したのは、ビーバー。
ヨーロッパでは毛皮のためにほぼ絶滅したはずのビーバーが、ドイツにあるこの白樺に目をつけたのだ。
場所はドイツ南部、ババリア地方のLengenwang近く。
1979年から、絶滅危機にあったビーバーの保護プログラムを行っていて、このような「被害」が起こった。
ビーバーは白樺が好きのようで、木のまわりを回るように噛んでいく。
まるで木こりのようだ。
森林に被害を与えているかのようなビーバーだが、実際は森林にはいいらしい。
ビーバーは木の皮を食べて、残りかすを川などに捨てるが、それだけではない。
彼らは木を使って、意図的に川にダムを作り出すのだ。
水辺の木を齧り倒して、泥や枝をさまざまに組み合わせて、川を横断する橋のように組み立てる。
重たい木を運ぶときは運河のようなものを作って運ぶらしい。
さらに、ダムの中心には木をくみ上げて「ロッジ」と呼ばれる巣を作る。
このロッジに入り口が水の下にあるらしく、ダムの水位は常にこの入り口の上にくるように保たれるのだ。
そして、ダムが水を長い間保持すると、その森は干ばつや洪水が緩和される。
有害物質も、ダムによって出来た湿地で、微生物によって分解される。
そうして、下流には浄化された水が届くのだ。
ビーバーはイギリスでは16世紀に絶滅。
ヨーロッパ大陸では再生プログラムでデンマーク、ブルガリア、セルビア、オーストリアなどに再導入されている。
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