哲学者ハイデガーのノートに反ユダヤ主義の記述。

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http://www.nytimes.com/2014/03/31/books/heideggers-notebooks-renew-focus-on-anti-semitism.html?_r=0
http://www.nytimes.com/2014/03/31/books/heideggers-notebooks-renew-focus-on-anti-semitism.html?_r=0

 

思想史の中で重要な位置に立つドイツの哲学者ハイデガーだが、彼の私的ノートブックが出版化され、物議を醸している。

彼がナチスに共鳴する国家社会主義者だったことは誰もが知っているが、そのノートブックによって、彼の反ユダヤ主義の心情があからさまになったのだ。

 

ノートは1931年から41年までのノートで、本のタイトルは『ブラックノートブック』。

その41年の部分でこういうメモがある。

“World Jewry, is ungraspable everywhere and doesn’t need to get involved in military action while continuing to unfurl its influence, whereas we are left to sacrifice the best blood of the best of our people.”

世界のユダヤ民族は、掴み所がなくいたるところにいるが、軍事活動に巻き込まれることはない。

しかし、その影響力は広がり続けている。

一方で我々は、自分たちの人々のために血を犠牲にしている。

 

こういった反ユダヤ的主張は3冊のノートの2冊と半分を占め、1200ページにおよぶ。

彼が反ユダヤ主義に傾倒していたことは明らかで、ドイツ国内のユダヤ人を問題視していたことも間違いない。

そのため、ナチスの反ユダヤ政策の哲学的・知的リーダーとしての影の役割があったと言っても否定できない。

 

ハイデッガーはフライブルグ大学総長になった1933年にナチス党に入党。

ナチス革命を賞賛し、大学をナチス的にしようと改革を試みた。

また、ヒトラーを説得して物質的から自然的な社会の復権を目指したという。

 

ただし、ナチス党がユダヤ人を迫害しはじめたころから距離を置くようになり、ナチスの監視も受けている。

ホロコーストのころに指導的役割を担っていたとは言いがたい。

 

 

反ユダヤ主義はニーチェもそうだったように、高度化する資本主義社会への警鐘でもあった。

ドイツではユダヤ人が都市を中心とした資本主義で成功し、中流以上の家庭を築いていた。

一方でドイツ人は労働者が多く、ユダヤ人に雇われることも多かった。

しかし、当時ドイツのユダヤ人は社会主義思想に目覚め、ワイマール政権が生まれていたのだが、ナチスはそれらを否定した。

 

経済的にドイツ人が主導できるように、ドイツ人による国家的な社会主義を目指したのだ。

 

ナチスとは、熱狂だ。

ヒトラーもハイデガーも、おそらくユダヤ陰謀論に深く傾倒していた。

世界的なユダヤ組織が、世界征服を目論んでいるというものだが、ドイツ国内のユダヤ人はすでにドイツ国民であるという意識が強く、第一次世界大戦にも兵士や将校として参加していた。

彼らからすると、迷惑な噂だ。

しかし、ユダヤ陰謀論は人を「知らない世界を知っている」という気分にさせ、高揚させる。

まるで現代のNASA陰謀論のようにヒトラーとハイデガーを熱狂させた。

 

同じように熱狂があったロシアでは、ユダヤ人の村ごと迫害するポグロムが起き、多くの敬虔なユダヤ人がドイツに難民として登場した。

神秘的な彼らの姿。それが陰謀論に火を注いだのだ。

 

偉大な哲学者ハイデガーも、結局は盲目だったと結論づけたい。

 

 

 

 

 

 

 

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