案外力を入れていたiPhone5C
昔むかし、マックは高くて買えなかった。
「マックが高い」と感じた最後の機種は、PowerBook G3だ。
ジョナサン・アイブがiMacよりも先に発表した、彼のデザインが全面的に採用されたもので、新品は40万近くした。
F1のボディのようなカーブや、ボディ中央部のラバーコーティングなど、あらゆるところに高級感を感じさせるもので、雑誌の広告も高級化粧品のような感覚があった。
当時は、その憧れのG3を「持ち歩いて」、取材をしてみたいと願ったものだ(その後、中古を購入して夢を実現する)。
G3だけでなく、数あるPCの中でマッキントッシュは高級品だった。
だから多くの人は、日本のPC8801からの流れを汲むNEC機種や、シャープ、富士通の製品を主に使っていた。
そこに登場したのが、安価でカラフルなiMacだった。
安い上に、カラーを選べるという画期的なもの。
さらに、ノートはiBookも登場し、PowerBookはチタンボディのG4となった。
その後は、ライターの仕事ならiBook、デザインならPowerBookという感じになり、安い製品と高い製品で「憧れ感」は存在し続けた。
一方、現在のアップルを支えるiPhoneはオンリーワンだった。
「その廉価版が出る」という噂は、なんとなくネガティブに感じたが、アップルサイトのトップに登場し、しっかり紹介された5Cを見ると、その印象は大きく変わった。
あくまで、5Cは主力商品であり、iMacやiBookのカラフルで安価な思想を受け継いだものであると。
そして、iPhone5Sの系統は今後、PowerBookのような高級志向になっていく。
残念なのは、そのノートブック分野に高級感がなくなってきたことだ。
iBookもPowerBookもなくなり、高級だったはずのMacBook Proだけになってしまった。
ノートにはAirがあるが、デザインは基本的に一緒なので、Air自体に高級感があり、しかも安い。
消費者の購入欲や憧れをそそるようなコントロールが、できていないような気がする。
今後はぜひ、iPhone5Cを主力として打ち出してほしい。
iPhone5Sは、欲しい人だけが手を出す高級品として、ひっそりと販売すべきだ。
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