戦後すぐのデザインがこれ。航空機デザインと車を融合させたカロシェ、フィゴーニ。
この写真を見ていると、流線型の未来のクルマかと思えてしまう。
横からの姿は、完全に手塚治虫の未来カーだ。
このクルマが完成したのは、1948年。
戦後すぐだ。
名前はDelahaye 135M Figoni et Falaschi Narval Cabriolet.
Delahaye(ドライエもしくはデラヘイ)というのがメーカー名。
1894年創業(フランス)で、1930年代に高級車分野とレースに進出。
トラックのエンジンをそのままレーシングカーに採用するという斬新さで注目を集めたが、大戦後に倒産した。
Figoni et Falaschi(フィゴーニ・エ・ファラッシ)というのが形を作った人の名前もしくはメーカーだという。
彼らはカロシェと呼ばれ、車産業の花形だった。
車の名前としては、ドライエの135M Narvalという名になる。
パワートレインは130馬力のインライン6気筒エンジン。
シャーシは135(戦前の1938年にル・マン24時間で優勝)のスポーツバージョンで135Mとなっている。
1946年のサロン・ドゥ・パリに出展し、大戦終結直後に組み立てたという。
ナチスの後押しを受けたメルセデスがレースカーで圧倒的な力を誇る中、フランス勢として気を吐いたドライエ135系に、花形コーチビルダー(カロシェ)、フィゴーニのカラダをまとったNarval。
形としては135といっても外見がまったく違うが、フィゴーニのデザインしたものはだいたい同じなのだろうか。
フィゴーニ・エ・ファラッシのデザイナーはジュゼッペ・フィゴーニ。
1894年にイタリアに生まれ、家族とともにパリへ移住。14歳のころからビルダーに弟子入りし、第一次世界大戦まで過ごした。
後にイタリアへ帰国し、ドライエ、ブガッティ、アルファロメオ、ルノーなどのシャーシを手がける。
1935年からビジネスマンのオビディオ・ファラッシと出会い、コーチビルダー『フィゴーニ・エ・ファラッシ』を設立。
空気力学に則った航空機型のデザインを目指した。
Figoni et Falaschiで検索するとご覧の通り。
車に対する「こうあるべき」という姿が完成される前で、彼のデザインが将来主流になることもあり得たと思うと面白い。
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