パリから高速鉄道で2時間。ドイツ国境にあるストラスブールには、「La Petite France」という観光名所があり、川辺の家並みが人気です。
でも、なぜ「小さなフランス」がフランスの都市にあるのでしょうか。
それは、この地が何度も国を替えたことに原因がありそうです。
もともとケルト人の町でしたが、後にゲルマン系のアレマンニア族が侵入。
ゲルマン系つまりドイツ人たちの町となり、さらにその後ゲルマン系のフランク王国に編入されます。
次はドイツの原型となる神聖ローマ帝国。
このころ(16世紀はじめ)に、イタリア戦争から帰ってきたフランス兵が休息のために町に立ち寄ります。
その際、この町で性病が大流行。
「あのフランス野郎どものせいだ」として、性病患者を隔離・収容した病院を「小フランス(Zum Franzosel)」と呼びました。
その後、水辺でじめじめして不衛生、皮なめし業や漁師の住むこのエリアを蔑んで「小フランス」と呼び続けたそうです。
それから100年あまり、ストラスブールはフランスに併合されます。
言葉も服装も習慣も違う国に併合されました。
フランス語が定着するのはずっと後のこと。長い時間をかけて小フランスもフランス語で「La Petite France(プチ・フランス)」と呼ばれるようになりました。
観光地化されるのは20世紀になってから。
名前も家並みもかわいいエリアとなりました。
フランク族はゲルマン系なのにフランス語はドイツ語と違うのはなぜ
ところで、「フランス」の元となるフランク族はゲルマン系(ドイツ系)ですが、フランス語はドイツ語ではありません。
なぜでしょう。
フランス人の中で多数派の起源はケルト人(ガリア人)です。
彼らは独自の言語を持っていましたが、ローマ帝国に支配されてからは、人々はラテン語を使うようになります。
そして、フランク族の侵入で、ラテン語はゲルマン語の影響を受けて変化していきます。
しかし、それはガリア語がローマ語に変わるほどの変化ではなく、あくまでラテン語をベースに、オリジナルの言語、フランス語を作り上げていきます。
13世紀頃から標準語としてはパリ周辺の方言フランシア語が定着しますが、近年までゲルマン語の影響の少ない南部方言(オック語)との差は相当だったそうです。
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