ヨーロッパ人DNAの2パーセントにネアンデルタール人のDNA 癌と糖尿病はそれが原因か
欧米人が白人化したのは、ネアンデルタール人(ニアンデルサーマン)ではないか。
そんな考え方にはロマンがある。
なぜなら、科学的には否定されているからだ。
彼らは現生人類の勃興によって、3万年前にさみしく絶滅したと考えられている。
交配した証拠もなく、ヨーロッパで見つかったネアンデルタール人は、現在の我々とは遺伝子上、何の関係もない…。
多くの人がそう考えているはずだが、最近、2種の混合説を裏付ける研究結果が発表された。
研究では、「現代のヨーロッパ人のDNAの2パーセントに、ネアンデルタール人のDNAが混ざっている」という結果が出たという。
これは、ある時期、何千年もの共存の間に、2種が交配を重ねた結果であり、衝撃の事実でもある。
研究結果は先月、ネイチャー誌で発表された。
ハーバード大学医学部による論文で、「ラテンアメリカの人々の糖尿病を引き起こすDNAは、ネアンデルタール人由来」というものだった。
女性ネアンデルタール人のつま先の骨のDNAを調べた研究で、人類がネアンデルタール人の影響を受けて現代のDNAとなったことが解明された。
想像していたよりも広範囲に彼らのDNAが組み込まれていることがわかったという。
衝撃はそれだけではない。そのネアンデルタール遺伝子が、現代人の癌や心臓病に影響を与えている可能性が出てきた。
ロンドンの自然史博物館の人類起源研究リーダーであるクリス・ストリンガー教授は、
「ネアンデルタール人と交わったアフリカの外の人類は、今までに体験したことのない病気に遭遇した。現在では、アフリカの外の人間が2型糖尿病に弱いことがわかっている」
と語った。
癌については昨年、オックスフォードとプリマスの大学が、ネアンデルタール人のDNAに原因があると発表している。
そういった研究結果を聞いていると、ネアンデルタール人によって人間は弱くなったように聞こえるが、そうではない。
交配によって現代にない病気がすでに駆逐されている可能性もあり、免疫系がより進化したという考え方もあるらしいのだ。
例えば、体内に入った異物を攻撃する白血球をサポートするHLAシステムは、ネアンデルタール人との交配で得た可能性があるらしい。
HLAシステムは、主に白血球に攻撃対象の情報を伝えるもの(ほぼすべての細胞と体液に存在する)だが、これがネアンデルタール人のものだった。
(ただし、6万5000年前に人類存亡の危機があり、私たち人類は独自のHLAを獲得している)
交配したのは5万年前ごろで、東地中海で起こった。また、アジアのネアンデルタール人が、4万5000年前に交配している可能性もある。
そこで考えられるのが、あのロマンの話だ。
色白、碧眼、大型化(北欧、ゲルマン人)が、ネアンデルタール人の影響であると、最近の研究で考えられているのだ。
この前の記事では、7000年前に黒肌、碧眼のスペイン地方男性が出てきたが、その関係姓も気になるところだ。
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